はじめに ~なぜ我々が大桶を作るのか~

味噌蔵と聞き、多くの方々は、木製の大桶に重石の載った、薄暗い蔵を思い描く事でしょう。
我々の桝塚味噌は、我が国最大級の木桶蔵を守るため、こつりこつりと修繕を続け、約400本の大桶を現在まで使い続けています。

しかし、現実にはそんな昔ながらの蔵ははほとんど見られなくなってしまいました。
現在、味噌の木桶熟成は味噌の全生産量の2%ほど。 「金属製の発酵タンクが並んだ工場」というのが 今の日本の伝統食品文化の現実です。

このままでは日本の伝統的食文化が失われてしまうのは時間の問題です。
蔵元桝塚の味噌蔵で一番新しい木製の大桶は、昭和23年作の大桶。
我々は実に60年ぶりに一本の大桶の新調を決めました。

日本にかつて在った大桶の文化を次世代に伝えるために、 立ち上がることを決意したのです。