材料を集める
大桶を新調するといっても「はい、どうぞ」とはいきません。まず、山から大桶の材料となる杉の切り出しから始まります。
愛知奥地の山林で、大桶の材料となる杉の切り出しを行いました。
我々が一本の桶を仕上げる為に必要な板材は70本以上。森に1割もないという、桶材の為に選ばれた樹齢80年以上の木からでも、材料となる赤身の板目材は2、3本しかとれません。
多くの自然に支えられ、我々は材料を手にする事が出来ます。
そうして森から切り出された板材も、すぐに使用されるわけではありません。
よりよい状態となるように、隙間を空けながら積み上げ、半年間、自然に乾燥をさせます。
味噌と同じように、ここでも待つという行程があるのです。
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愛知県新城市(旧東栄町、鳳来町)の山。愛知県のなかでも特に豊かな山林を有する地域です。この森から、桶の材料となる、愛知三河杉を切り出しました。
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今回は、木こりの青山さん(日本の名人100選に選ばれた方)の伐採に立ち会うことが出来ました。
現在71歳の青山さんは生涯現役だそうです。
昼食は、山の中で焚き火をしながらシイタケを焼き、 大きな塗りの弁等箱に山盛りのご飯をペロッと胃袋に納めていました。
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一本一本の杉を精査をし、切り出してゆきます。
杉の切り出しは秋から冬までしか行われません。
木は生きています。水を吸い上げ成長をする夏を避け、成長が止まり、虫が少ない季節に切り出しを行うわけです。
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伐採された木材は、トラックで山から運び出され、麓(ふもと)の土場(ドバ)と呼ぶ材木置場に集められます。
土場では、杉、ヒノキ、ケヤキ等、種類別大きさ別に分けられて一時保管されます。
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バーカーといわれる、機械式の皮剥き機。山から切り出された杉はまず、皮をむかれます。
昔は鎌や鉞(まさかり)という道具を使い、手作業で行っていたそうです。
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皮を剥かれた材木は製材所に運ばれ、一本づつ確認しながら板材に仕上げていきます。大人が両手で抱えるほど
の大杉ですが、桶の為に使える材木は数えるほどもとることができません。
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割れを防ぐための表面処理中。このあとは、約半年間、自然環境の中でゆっくりと乾燥をさせます。そっと寝かせて秋を待ちます。