
2001年05月07日
何の変哲も無い、直売店横の花壇ですが、その謂れ(いわれ)を話しましょう。
その花壇の石垣に、直径15センチ、深さ5センチの穴が彫り込んであります。
昔、この村にまだ水道設備の無い時代、どこの田舎も同じですが、水は近所の川や井戸を利用していました。
この桝塚村も同じで、洗濯は村のすぐ北を流れる家下川でした。
そして、特にきれいな清水の湧き出るところのすぐ下(しも)を、村共有の洗濯場として使っていました。
その洗濯場の最後の足場が、この花壇の石垣なのです。
彫り込んである穴は、石鹸入れの穴という訳です。
洗濯をする母親の横で、よく水遊びをしました。
橋下の清水は、夏冷たく、冬暖かく感じたのを覚えています。
井戸の無い家では炊事用にも使いました。ザリガニ取りに最適でした。
今は、もう川の両岸は、灰色のコンクリートで固められて、
昔のように、川の中には入れません。
「あの清水の冷たさ。ワシには、あるんだが・・・。」
失った物が、大きいような気がします。
「巣作りに 傍若無人 軒つばめ。」
辰