2017年03月28日

蔵元写真館 「追憶」-3



「シヅエ結婚前」    昭和2年(1927)


上郷村桝塚の村外れ、貧しい小作の11人家族の長男清市にも春は来た。
昭和3年春、矢作村の神田より清市に縁談話があり、両家の親の同意のみで事はトントンと進み、シヅエと婚姻となった。
19歳の新妻シヅエは、結婚式の当日初めて目にする新郎清市を見て、「ああ、これが私の旦那様か。」と恋心も無く、しげしげと不細工な大柄な清市を見つめた。しかし、小作ではなく八反(はったん)の田を持つ自作農家へ嫁ぐと教えられてきた彼女は、別段生活の心配はしていなかった。


有ること難し。 店主