2021年07月21日

蔵頭ブログ-14


みなさん
暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか
『蔵 頭』 です

今回は
発酵と腐敗について
お話しします

なんとなくわかっていても
違いというと案外難しいです



たとえば 納豆
納豆は腐っているんだよね?
なんてことをよく聞きます。

実は納豆
腐っているのではなく発酵しているんです

では,発酵と腐敗の違いはといいますと
『どちらも微生物の力により物質が変化したもの』
それが私たちにとって有益なものであれば発酵、有害なら腐敗となります

でもその線引きも曖昧なんです
納豆は発酵食品で体にいいものですが
人によっては悪臭で不快だったりします



人の都合や主観により捉え方も変わってきますが
微生物の力によって変化し、食しても体の中で悪さをするどころか栄養価を満たす働きをするものは発酵
逆に体に害を及ぼすものは腐敗ということになります。

微生物に助けてもらっていることはたくさんあります
発酵も腐敗も紙一重です
上手に微生物と仲良くなりながら生活していきたいですね

次回は発酵と熟成についてお話します
お楽しみに


有ること難し。 店主


2021年06月28日

蔵頭ブログ-13


みなさん
雨で憂鬱な梅雨時ですが
いかがお過ごしですか

『蔵 頭』 です

今回から味噌や発酵についてのお話をしたいと思います

発酵食品と聞いて
みなさんは何を思いますか?

世界中にはさまざまな発酵食品があって
あんなものからこんなものまで
おいしいものから癖のあるものまで
たくさんつくられています



例えば
私たちが作っている味噌・醤油
大豆を原料としているものとしていえば
納豆もそうです

ほかには
チーズやヨーグルトなどの乳製品
魚醤や鰹節などの魚を原料とするもの
ハムやソーセージなど肉を原料とするもの
キムチ・ぬか漬けなどの漬物類
ワイン・ビール・日本酒などのアルコール類と
各種の発酵食品がそれぞれの国や地域で発達しています

では どうしてこんなことが起こったのか?

いまでこそ食材等を保存するのに
冷蔵庫がありますが
それが発明される前は
塩漬けや乾燥などの方法で保存してきました
そんな中 食材に酵母やら乳酸菌やカビなどが生えて
始まりました
発酵の歴史 微生物の力は本当にすごいものです

いまでは偶然ではなくおいしい発酵食品ができるように
どの業種も安心・安全に製造していることでしょう

では微生物に感謝しながら
今日は納豆と漬物 そして
おいしい味噌汁を作って食べたいと思います!!

次回は発酵と腐敗についてのお話です
よろしくお願いします


有ること難し。 店主


2021年05月18日

蔵頭ブログ-12


みなさん
暖かい日が続いていますが
いかがお過ごしですか

『蔵 頭』 です

前回は
私たちの味噌造りのこだわり
木桶での仕込みについてお話しました

今回のお話はもうひとつのこだわりについてです

こだわりのふたつめ
それは
天然醸造です



醸造方法にはふた通りあって
速醸方法と天然醸造があります

暑くてじめっとしている時期(日本の梅雨のような)は
よくカビが生えると思います
そんな状態は味噌にとって発酵するのに好条件で
蔵の中を温かくし湿気を保つ事で早く味噌を造る方法が
速醸方法

とは反対に
温度管理をせずに
天然の状態 暑い時も寒い時も空調設備を使わずに
そのままの状態で熟成をおこなう方法を
天然醸造

では 何が違うのか?
速醸方法の味噌は麹菌や酵母が一番働きやすい温度だけで熟成するため
ある一定の菌だけが発酵をおこない香気成分や旨味成分の種類が
少なくなります
しかし天然醸造の場合 四季のある日本の中で一年を通じて
低温から高温まで幅広い温度変化のなかで発酵がおこなわれます
そんな中、温度が高いときに活動する菌や低いときに活動する菌など
さまざまな種類の菌が味噌の中で発酵するため
香気・旨味成分が豊富で風味豊かなおいしい味噌になるのです。

速醸方法にはいい面もあります
低コストで大量生産が必要な大手メーカーなどは
熟成期間を短くし、回転率をあげ
狭いスペースで大量につくることのできる方法を選びます。



しかし
私たちにその必要はありません
なぜならここにはほかの味噌屋にはない
たくさんの大きな木桶とそれを置ける蔵があるからです
大手に比べ生産能力では劣りますがそれを目指しているのではなく
じっくり、ゆっくりおいしい味噌になるように育てていっているのです

味噌屋の桶が木から金属へ変化し
天然醸造から速醸方法に熟成状況も変化していく中

私たちは
木桶での天然醸造にこれからもこだわり守り続けていきます
是非 このような環境で育てた味噌をご賞味ください

蔵頭ブログを始めて一年が過ぎました
毎回楽しみに読んで頂いている方 ありがとうございます
これからも 蔵頭としてブログを続けていきますので
引き続きよろしくお願いします


有ること難し。 店主


2021年04月22日

蔵頭ブログ-11


みなさん
ご機嫌いかがですか?

『蔵 頭』 です。


日本全国にはたくさんの味噌屋があります。
味噌も多種多様で
その種類・製造方法・仕込みに使用する桶・熟成方法と
どのメーカーも会社の特徴を生かしつつ製造をおこなっています。

そんななか
私たちにしかできないこと、
他の味噌との違いや私たちが表現した味を醸すためにおこなっていること
私たち桝塚味噌のこだわりをご紹介します。




ひとつは木の桶を使って味噌を造ること
しかも高さ3m弱にもなる大きな桶で・・・
木の桶で味噌造りをおこなっているのは日本全国を見ても数%
ましてや私たちが扱っている大きな桶になると
わずか数十件しかありません。

ではなぜ 木桶が良いのか?
木は断熱性が良く、桶内部の急な温度変化を緩和してくれます
味噌・微生物にとって急な温度変化はよくありません
また 味噌を木桶に仕込むと木桶の内部に微生物・酵母・アミノ酸等が浸みこみます
金属のタンクの場合は洗うと有用な微生物まで洗い流してしまいます
しかし 木桶は水洗いですし木質内部まで微生物が入り込むため洗っただけではなくなりません
これらの微生物は次の仕込みのときに発酵熟成の手助けをしてくれます。

効率のことを考えると木桶を変えることは
ひとつの策であるのかもしれませんが
手間隙をかけてでもこの木桶の伝統と味は
僕らが守っていかなければならないものです。
一度失ってしまうと戻ってくることができません。

次回は
私たちが味噌づくりに欠かせないもうひとつのことについて
お話しします どうぞお楽しみに!


有ること難し。 店主


2021年03月16日

蔵頭ブログ-10


すっかり春めいてきましたね
小春日和のさなかいかがお過ごしですか?

『蔵 頭』 です



今回は桶の寿命についてのお話です。

木の桶はどのくらい使う事ができると思いますか?

5年?
10年?
50年?

実際のところ桶の寿命はわかりません
桶は中のものが漏れるようになると
使うことができなくなってしまいます。

桶の材質は木なので 乾燥してくると歪み
木と木の間に隙間ができ漏れるようになります

しかし使い方次第で長く使えます!
たとえば私たちが使っている味噌桶
熟成が終わり味噌ができ掘り出して空になります

このまま放置しておくと乾燥していきますが
空いたらすぐに味噌を仕込んでいき乾燥する間もあたえずに
次から次へと仕込み続けていくこと
桶は大事に 使い続けることで長く使えるようになります



当社にはわかっているもので150年前に造られた桶を今でも使用しています
機会があれば是非見に来てくださいね

150年も前に桶を造った桶職人さんは
どんな気持ちで桶を造ったのでしょう?
大きな木桶を眺めてそんな想いをめぐらせることがあります。
しっかり造ってもらった桶を150年後の今でも大事に使っています
それはこれからも変わりません
桶職人さんの思いは受け継いでいますよ
と 伝えたいです



そういえば
昨年11月に発売開始しました
限定醸造 蔵頭醤油ですが
皆様方にご好評いただきまして順調に売れております。

中にはリピーターの方もいらっしゃいまして
ありがとうございます。
販売価格は少々高めではありますが
小麦不使用の醤油でクセもなくバランスのとれた味に仕上がっています

刺身や豆腐などに直接かけてもいいですし
色がそれほど濃くないため煮物やうどんに使用しても相性が良いです

現在も蔵頭醤油の仕込みをおこなっており只今 熟成中です
前回よりも少し腕を上げた蔵頭醤油を楽しみにしていただけたら幸いです


次回は『桝塚味噌のこだわり』についてです
お楽しみに!


有ること難し。 店主