2001年02月20日


大桶を見ると、その大きさに目が行き、見上げてしまいます。
しかし、その大桶は、十数本の輪切りにした木の上に乗っています。
大桶が、長持ちするように風通しを考え、また桶漏れがあったら、
すぐに分かるようにと、乗っているのです。
蔵では、輪切りの木の上に、桶を乗せることを「盤木(ばんき)をかう。」
と言います。
その高さは、蔵人の胸板の厚さと同じです。
もしも、桶漏れが出た場合、胸板の厚さがあれば、
桶下に入ることができるからです。
大桶は、そんな蔵人達に守られているのです。
胸板の厚さなんて、素敵ですね。

「寒明けの 桶間に匂う 麹棚。」
               辰


寒仕込み(踏み込み)西蔵にて


2001年02月10日


味噌蔵でもいろいろな仕事があります。
味噌を熟成して、売るのが仕事だと思われるかもしれませんが、
蔵では、昔から仕込む前の、麹に塩と水を混ぜた半製品を売ってきました。
各家庭で桶等に移し、重石をして、熟成をします。
一年後から、食べられるようになります。
それぞれの時期の味を楽しんでもらうのです。
この地方の諺に、「味噌を腐らす家は、家の身上(財産)を食いつぶす。」と
いわれます。
そんな諺が、懐かしく思われますネ。

「縁側は 妻の仕事場 日脚伸ぶ。」 
                辰


2001年01月21日


蔵の中は、今からだんだん、底冷えの季節です。
「しンn。」とした、空気の動きの無い、夜の蔵なんて、「百聞は一見にしかず。」
本当に、身も心も引き締まります。(間違いなし。)
蔵の奥の方から、柱時計の歯車を刻む音が、
「チッ、チッ、チッ、」と、
なんとも言えない静けさを伝えてきます。
静けさは、この音とよく合います。
「静けさも、音だったんですね・・・。」
何倍も静けさが増幅されます。

夜の蔵の中、それは静けさとの、せめぎ合い。
ブルブルッ。

「枯木山 流人の如く さまよえる。」
                  辰


2001年01月10日


おめでとうさん。とうとう、21世紀です。
と言っても所詮、人間様が勝手に言っているだけですけど。
ともかく、無事に新しい年を迎えさせていただき、感謝申しあげます。

 味噌蔵には、敷地の中に、一体のお地蔵様と一基の庚申様が在ります。
蔵の中に在った旧道は、もう分からなくなりましたが、昔は村と岡崎(矢作)を結ぶ小さな街道だったそうです。その街道沿いに置かれていたお地蔵様と庚申様が世話をする人が無くなり、今は蔵で世話しているのです。
お地蔵さんの顔は、もう判りませんが、確かに、誰かが祀(まつ)ったんですよね。
どんな理由があったのでしょう? 誰も、分かりません。
人の歴史なんて、こんなものでしょう。
でも、そんな歴史を、誰知れず、我々が見守れるなんて幸せですよね。

「味噌蔵の 目貼をしかと 寒に入る。」 
                  辰


2000年12月30日



師走、20世紀も残すところあと二日です。蔵では、毎年恒例の大掃除です。
日ごろいろいろな作業に追われて、なかなか出来ない所までこの日は徹底的に行います。やはり、一つの区切りのようなものです。
でも、これが無いと、何と無く一年が終わりません。

一日を費やして、その後の、気持ち良さは
「一年間、働かさせていただき、どうも有り難うございました。」
と素直に言えますネ。

そして、また「来年も、よろしくお願いします。」と自然に口に出ます。

「酔うほどに 愚痴の出て来る 年忘れ。」 
                    辰