2001年05月20日


長年、味噌と共に生きてきた小生も初めて、蔵で使う「中国産大豆」の産地を見に行く機会をえました。
行き先は旧満州、黒龍江省ハルピン市の北400kmにある引龍河農場です。
あと200kmでロシアとの国境です。

 はじめての日本人という事で、農場サイドもビデオ撮影とやや緊張気味でした。
農場といっても3,600k㎡の面積と、11,000人の農民を管理する、日本では想像できない規模です。主要作物は大豆と小麦です。
まず招待所で農場長の祝 殿凱氏より概略説明を受け、歓迎の意を表されました。
そして、すぐに大豆播種の現場、農業機械置場、選別場、貯蔵庫と見て回りました。

 地平線まで続く、波打つ黒い大地。青い空。
舞う土埃。逃げ場の無い西風。道路脇にポプラの街路樹。
まさに、大地です。


「御土産に 小さき壺の 新茶買う。」 
                 辰


2001年05月07日


何の変哲も無い、直売店横の花壇ですが、その謂れ(いわれ)を話しましょう。
その花壇の石垣に、直径15センチ、深さ5センチの穴が彫り込んであります。

 昔、この村にまだ水道設備の無い時代、どこの田舎も同じですが、水は近所の川や井戸を利用していました。
この桝塚村も同じで、洗濯は村のすぐ北を流れる家下川でした。
そして、特にきれいな清水の湧き出るところのすぐ下(しも)を、村共有の洗濯場として使っていました。
その洗濯場の最後の足場が、この花壇の石垣なのです。
彫り込んである穴は、石鹸入れの穴という訳です。

 洗濯をする母親の横で、よく水遊びをしました。
橋下の清水は、夏冷たく、冬暖かく感じたのを覚えています。
井戸の無い家では炊事用にも使いました。ザリガニ取りに最適でした。
今は、もう川の両岸は、灰色のコンクリートで固められて、
昔のように、川の中には入れません。

 「あの清水の冷たさ。ワシには、あるんだが・・・。」
失った物が、大きいような気がします。


「巣作りに 傍若無人 軒つばめ。」 
                辰


2001年04月21日


昨年、大豆の播種から収穫までを記録した
「かま次郎さんの大豆畑日記」(同ホームページ参照)の畑が
起され、水が引かれました。
五月の連休ぐらいには、コシヒカリの田として植えられます。
現在、米、麦、大豆と輪作をしながら、農地を維持しています。
日本の農業は、たくさんの社会的問題を含んでいます。
見逃しもできません。
「一度、畦道にでも座って、ゆっくり考えてみては?」
そんな気がします。

 我々は、立ち止まって考える勇気が必要かもしれませんネ。

「声とどく 距離をたしかめ 潮干狩り。」 
                 辰


2001年04月14日


桜も散り始め、春の初々しさから、
彼方此方(アチラコチラ)の家の鯉幟(コイノボリ)が気になります。

味噌は、秋から冬に多く使われますが、
長年蔵の中で生きてくると、「ふッ。」と思う事があります。
「本当は、初春から初夏が味噌の旬。」なんですョ。
底冷えのする冬の蔵を乗り越え、この時期の味噌は、
深みと、締まりのある味に育っているように感じます。
蔵人の戯言(たわごと)かも知れませんが・・・

 日々淡々と繰り返す作業ですが、
「一度として、同じ味の味噌はありません。」

「朧月 テレビは眠 狂四郎。」
              辰


2001年04月01日


最近の陽気で、春盛りです。
蔵の周りでは、土筆が顔を出し、菜の花は艶やかな黄色に染まり、そして小生の好きなしだれ桜も一斉に咲きました。
蔵の中、土の中から、木々から、あちらこちらで春は芽吹いています。
虫や蝶も小鳥たちも、目覚めのあくびをしているようです。
毎年同じ様に、春はやって来ます。

 小生、この時期好きな食べ物があります。
それは土筆で、別に、特別なものではありません。
ただ、摘んできた土筆の袴(はかま)を取り、蔵で出来た溜(醤油)と砂糖で炒めただけの
「田舎流甘露煮風土筆炒」とでも言いましょうか。
土筆、溜、砂糖の量は適当です。
勝手な好みで、小生は甘辛くします。
白いご飯(銀シャリ)と良く、合うんですョ。

 蔵で、春を感じます。

「行儀よく 土筆並びて 空広く。」 
                辰