
2001年03月12日
天気も最高で、小春日和です。
今日、名勤生協コープメイトの皆さんの見学がありました。
この蔵には、日々たくさんの見学の方々が来蔵されます。
毎回、是非に「味噌のことを理解して頂こう。」とご案内しています。
蔵には、見学コースはありません。蔵人と同じところで同じ目線で、見たり、感じたりして頂いています。
最近、見学コースのある「見せる工場」とかが多くなりました。
でも、見せる工場には、見せられない所ができるのではないでしょうか。
我々のような蔵では、目線は常に、同じところに在るべきではないでしょうか。
あるべきものが、あるように、飾らず、気取らず。
そんな、蔵があってもいいのではないでしょうか。
「ホワイトデー 薄き財布に 山笑う。」
辰
2001年03月04日
少しずつ、春の足音が聞こえてきました。
花屋さんの軒先に置かれる草花から、早春の匂いが漂います。
味噌蔵では、冬から春にかけて、毎日近隣の農家から、大豆が持ち込まれます。
晩秋に刈り取った茎付き大豆を、干し(乾燥)、叩き脱粒し(米作で言えば脱穀)
そして、選別したピカピカの大豆です。
「蒸して食べても美味しかったよ。食べてごらん。」と自慢顔に言うおばさんの
笑顔は、とても綺麗です。
蔵では、大豆と、味噌や溜(醤油)と交換しているのです。
もしも、大豆がたくさんあれば、無期限の交換券を発行しています。
昔から行われている、お金ではない、物々交換ですが、暖かさを感じます。
味噌屋は農業の一種かもしれません。
そして・・・その大豆が、また味噌や溜に変わります。
「福耳に 似合いのピアス 櫻貝。」
辰
2001年02月20日
大桶を見ると、その大きさに目が行き、見上げてしまいます。
しかし、その大桶は、十数本の輪切りにした木の上に乗っています。
大桶が、長持ちするように風通しを考え、また桶漏れがあったら、
すぐに分かるようにと、乗っているのです。
蔵では、輪切りの木の上に、桶を乗せることを「盤木(ばんき)をかう。」
と言います。
その高さは、蔵人の胸板の厚さと同じです。
もしも、桶漏れが出た場合、胸板の厚さがあれば、
桶下に入ることができるからです。
大桶は、そんな蔵人達に守られているのです。
胸板の厚さなんて、素敵ですね。
「寒明けの 桶間に匂う 麹棚。」
辰
寒仕込み(踏み込み)西蔵にて
2001年02月10日
味噌蔵でもいろいろな仕事があります。
味噌を熟成して、売るのが仕事だと思われるかもしれませんが、
蔵では、昔から仕込む前の、麹に塩と水を混ぜた半製品を売ってきました。
各家庭で桶等に移し、重石をして、熟成をします。
一年後から、食べられるようになります。
それぞれの時期の味を楽しんでもらうのです。
この地方の諺に、「味噌を腐らす家は、家の身上(財産)を食いつぶす。」と
いわれます。
そんな諺が、懐かしく思われますネ。
「縁側は 妻の仕事場 日脚伸ぶ。」
辰
2001年01月21日
蔵の中は、今からだんだん、底冷えの季節です。
「しンn。」とした、空気の動きの無い、夜の蔵なんて、「百聞は一見にしかず。」
本当に、身も心も引き締まります。(間違いなし。)
蔵の奥の方から、柱時計の歯車を刻む音が、
「チッ、チッ、チッ、」と、
なんとも言えない静けさを伝えてきます。
静けさは、この音とよく合います。
「静けさも、音だったんですね・・・。」
何倍も静けさが増幅されます。
夜の蔵の中、それは静けさとの、せめぎ合い。
ブルブルッ。
「枯木山 流人の如く さまよえる。」
辰