2002年10月01日

「味噌の華(はな)。」
重石も済み、熟成に入った味噌桶は・・・
『ただ、静寂です。』
しばらくすると、重石の間から、溜(たまり)が少し出てきます。
重石の間から、その溜をよく見ると、
美しい、赤い泡が所々在るのに気づきます。
「熟成中の味噌が出す、呼吸の泡なんですよ。」
「蔵では、そんな泡のことを『味噌の華(はな)。』と言います。」

単に静寂ではなく、「味噌は生きている。」
あたり前な事を、実感させてくれます。

合掌。 店主


2002年09月16日


秋に入り、まだ夏の残りを感じます。
蔵では変わらぬ味噌造りが続いています。
この時期、気になるのが、今年の大豆の出来。
毎日、契約栽培の大豆畑を歩きます。
今日は、岡崎市立矢作北小学校の子供達に大豆畑を見せました。
ちょうど、花が終わり、薄い枝豆です。
「枝豆って、大豆なんだ。」と子供達。
見て、触って、感じる。そして、子供達の笑顔。
「ちょっと、味噌が気になるようになった。」
そんな言葉に、嬉しくなります。

合掌。 店主


2002年09月01日


味噌の仕込み終わった大桶は、数日間の慣らしを終えた後、
麻布を敷き重石をします。
簡単に見える重石置きですが・・・
昔から「重石置き、5年。」と蔵では言われています。
重石を理解するのも5年はかかると言う意味です。
桶の大きさ、石の大きさ、そして重さなど、毎回違います。
すべて桶、味噌そして重石の気持ちが判るようになると、
石を持った瞬間に、仕込みの済んだ桶の「ここ。」に
こんな感じでと・・・石が教えてくれるそうです。
いや、「石が教えてくれるような気がします。」

合掌。 店主


2002年08月08日

味噌の仕込み終わった大樽は、表面を丁寧に均(なら)します。決して、すぐに重石は置きません。
まず、諸味(もろみ・仕込みの済んだ味噌)を新しい環境に、慣らすのです。
「どんな生き物でも、急激に環境が変わると、
ストレスが貯まり体力が弱りますよね。味噌も同じなんですよ。」
ですから、数日間は静かに大樽の環境に慣らすのです。
「味噌は、作ってはいけない、育てるんだ。」
先輩たちの、言葉が脳裏に浮かびます。

合掌。 店主


2002年08月01日


蔵の中には約400本の大樽があります。
洗いの済んだ大樽に、製麹の終わった味噌玉、塩そして水を混合し仕込みます。
大樽は10トン〜20トン入ります。
樽の周囲は、蔵人により丁寧に、踏み込みをします。
(均等に、そして空気が入らないように、スコップ片手に行います。)
薄暗い樽の中は、まだ味噌の香りはありません。
ただ微かに、麹の香りが漂います。
「ザッ、ザッ、ザッ。」と踏み込みの音だけが、樽の中に残ります。
18ヵ月後まで、出来上がるのを楽しみに、
静寂の中、作業は続きます。

合掌。 店主